ハウスメーカーとの、時間をかけた打ち合わせでも気付かなかったこと、現代の住宅事情、ライフスタイルの変化にともない、新築や増改築リフォームともなれば、庭にあてるスペース、予算は少なくなる、減らすというのは周知の事実です。庭にお金をかけるなら、キッチン、内装、設備に費用をまわしたい。
そうしてできた新しい家での生活が始まり半年、一年とたつと、あれほど時間をかけて考えた計画では見えていなかったものが見えてきます。 庭は、くらしの中で一番身近で、一番目にする風景です。

先代、先々代の親方、また古い先輩方から伺った、戦前から昭和３０年代ころの、お客様施主さまのお話によると、庭づくりにしても、庭木の手入れにしても、より外に向かって見せていくような仕事が多かったと感じます。外から見られてよいように、外から来られた方が目にする部分をよりよく、近隣の町の中でもよりよく見せたい。
庭づくりにしても、庭木の手入れにしても極端なばあい隣近所よりよいものを、材料も手間も費用もよりかけて、よくしてくれということです。 昔の旦那様施主様には、より外に向けてよくしたいという方が多かったようにおもわれます。いまの庭づくりで、お客様のご相談を伺うと、より自分のこのみの、自分と自分の家族のための空間づくりとなってきていると感じます。家の顔のようにかいま見える庭の様子は、そのまま施主様の思いや人柄がかもし出されていると感じることがあります。
昔も今も、ひとつひとつの庭がそのまま町並みや景観、町の雰囲気を作っていたようにもおもわれます。